サプリメントは慎重に/利益相反と薬剤師

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サプリメントは慎重に

(2009年)11月18日付けのアメリカ医師会雑誌JAMA(Journal of the American Medical Association) に、更にビタミンブームに警告を発するかの如く、以下の論文が発表されました。

Cancer Incidence and Mortality After Treatment
With Folic Acid and Vitamin B12

JAMA. 2009;302(19):2119-2126.

 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/302/19/2119

  すなわち, Norwegian Vitamin Trial および Western Norway B Vitamin
Intervention Trial (WENBIT)と題する2つの二重盲検プラセボ対照
化臨床トライアルで、総計6,837名の虚血性心疾患患者を
対象にして、
葉酸(0.8mg/日)+ビタミンB12(0.4mg/日)、ビタミンB6(40mg/日)の群 1708名
葉酸(0.8mg/日)+ビタミンB12(0.4mg/日) の群 1703名
ビタミンB6単独(40mg/日) の群 1705名
プラセボ群 1721名
の4群について、1998年から2005年までを投与期間とし、更に2007年
までフォローして比較したところ、ビタミンB6単独では有意な影響がみられなかったとはいうものの、何と”葉酸+ビタミンB12 群では発癌リスク(肺がんが主)と死亡率が増加”したというのです。

もちろんこれは予期に反した結果で、この臨床試験計画についてノルウェーの Haukeland University Hospital からの届け出
WENBIT – Western Norway B Vitamin Intervention Trial

http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00354081

を見ますと、研究目的の欄に、検証する”仮説”として、これらビタミンB群処
理は心血管障害を持つ患者に発癌および死亡率の減少をもたらすであろう
とされているのです。

ところが結果は上記のように意に反したわけですが、これだけの前向き
RCT研究ですから、小生はエビデンスとしては十分だろうと思います。

ですから、以下に例示するように、欧米では早速に多くのメディアが大々
的にこの結果を報じています。

 ○ Treatment with folic acid, vitamin B12 associated with
increased risk of cancer, death

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-11/jaaj-twf111209.php

○ Treatment With Folic Acid, Vitamin B12 Associated With
Increased Risk of Cancer, Death

http://www.sciencedaily.com/releases/2009/11/091117161013.htm

 ○ High-dose Folic Acid and B12 May Hike Cancer Risk

http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/PreventiveCare/17072

 ○ Treatment With Folic Acid, Vitamin B12 Associated With
Increased Risk of Cancer, Death

http://www.docguide.com/news/content.nsf/news/852576140048867A85257671006E257C

 ○ Folic acid plus vitamin B12 treatment linked to cancer in
heart disease patients

http://www.oncolink.org/resources/article.cfm?c=3&s=8&ss=23&Year=2009&Month=11&id=16553

 ○ Folate and vitamin B12 linked to cancer

Folate and vitamin B12 linked to cancer

ところが、日本では、何処でも誰も、新聞もテレビも、全くこれを報道して
いません。どうしたのでしょうか??

利益相反と薬剤師

今日のニュース
医療機関への金銭供与、全面公開を検討( 2009年12月7日 )
 グラクソ・スミスクライン(GSK)が医療機関への金銭供与を全面的に情報開示する方向で検討していることが分かった。今後、欧州製薬団体連合会の会員会社に連携を呼び掛け、各社と足並みをそろえた上で、来年6月から情報開示する方向。すでに外資の一部で医療機関に提供する臨床研究資金を透明化する動きが出始めているが、すべての金銭供与を情報公開の対象にしている企業はない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
薬局・薬剤師が医薬品メーカーから金銭供与を受けることは
医療機関・医師以上に倫理的な問題があるので私は一切お断りする。

さて、連休に旅行した社員が多いので
休憩室のテーブルにお土産のお菓子が山積みだった
せっせと食べてようやく減ってきたら
この2?3日、お客さまからのお菓子が相次ぎまた山ができた

お歳暮の季節である。高額な頂き物はお断りするので
「これなら良いでしょ」と頂戴するのは
お煎餅、チョコレート、スナック菓子である

基本的に、お客さまからの頂き物は
商品やサービス対価の値増しであるから法的、倫理的に問題はない

お客さまへの贈り物は値引きにあたり
調剤に関しては現在の法律は禁止している
ただし、法律で禁止されているからと言って
ただちに倫理的にどうか、ではない
法律を犯すのは常識的に好ましくない、とは言える。

しかし、医者やメーカーから頂き物をすると
処方チェックや副作用モニタリングがが甘くなり
結果としてお客様の利益を損なう可能性がある

薬剤師が医者に贈り物をするのは薬局への誘導を促し
薬局選択の自由を妨げるからお客様の利益を損なう可能性がある

卸からの頂き物は・・・・うーん、とくに問題ないかなあ・・・・
しかし、それより値引きでしょう

日ノ出町駅 まちかどの薬局 日の出薬局 高橋洋一

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