ビッグファーマ/基準薬局/薬剤師倫理

旧HPのBLOGを再掲載します

ビッグファーマ

2006年のベストセラーだった本の題名である
薬害について書かれた本の多くは、個別事例を追って感情的に企業責任を追求するものが殆どだが、それがなぜ起きるのか、産業構造や経済の面から切り込んだ「ビッグファーマ」は、全ての薬剤師に読んで欲しい本である。著者のエンジェル氏は、医学雑誌The New England Journal of Medicineの前編集長。タイム誌が、米国で最も影響力のある25人に選んだこともある人物だ。この本の副題は「製薬会社の真実」である。

さてまたしても・・・
ウィキリークスが今度は米国、ニューヨークに本社を置く世界最大の製薬会社ファイザーが誤った臨床実験の賠償金不払いのために汚い策略を働かせた事実を暴露した。

9日に公開されたナイジェリア駐在米国大使館発の昨年4月電文を見れば、ファイザーのナイジェリア支社長 エルリゴ リゲリーは米大使館経済参事官に「ナイジェリア政府がファイザーを相手に提起した訴訟を取り下げさせるため、マイケル アオンドアカ法務長官の不正を裏調査した資料を言論に渡した」と話した。彼はまた「より致命的な情報も確保している」と自慢しながら「追加暴露報道を憂慮したわいろ提供者らがアオンドアカ長官に訴訟取り下げを圧迫中」と明らかにした。

 また別の専門はファイザーがナイジェリア前職大統領のヤコブ・ゴウォンを動員し、賠償金要求金額を1億5000万ドルから半分の7500万ドルに下げるようカンノ州州知事に圧力を加えた事実も含まれている。

 電文に登場する訴訟は、1996年ナイジェリア北部のカンノ州の子供の髄膜炎大規模発生時にさかのぼる。当時ファイザーは数千名の患者の中から200人余りの幼い患者を選別し100人に対し新しい抗生剤であるトゥロバンを臨床実験し、残る100人に対しては米国で最高の髄膜炎治療剤として知られたセフトリアキソンを投薬した。その結果、トロヴァフロキサシン投薬患者の内 5人、セフトリアキソン投薬者の内 6人が死亡し、ファイザーでは‘悪くはない結果’を得た。
・・・・・・・・・
製薬企業とのスタンスによほど気をつけないと、薬剤師も利益相反となることをあらためて肝に銘じた。

基準薬局

デファクトスタンダード (英語: de facto standard) は、「事実上の標準」を指す用語である。de factoはラテン語で「作られたるが故の」を意味する。ディファクトスタンダードと表記することもある。
ISOやJISなどの標準化機関等が定めた規格ではなく、市場における競争や広く採用された「結果として事実上標準化した基準」を指す。デファクトスタンダードに対して、国際標準化機関等により定められた標準をデジュリ(デジューレ、デジュール、デジュア)スタンダード (英語: de jure standard) と呼ぶ。wikiより

1月から始まる第3期の実務実習のために、大学の教授が薬局に来訪した。第1期、2期を経験した学生の情報では、日ノ出町駅の日の出薬局のような健康相談とOTCを重点にした地域の薬局の存在が新鮮な驚きだったという。
僕からみれば、驚きだったことが驚きだ。

医薬分業以降の薬局はほとんどが「調剤専門薬局」になった。また、かつて薬局と対立する業態だった「ドラッグストア」は調剤を取り入れ、今や「自分が薬局である」と主張している。
これらのスタイルが薬局のデファクトスタンダード;事実上の標準となって、日本薬剤師会が標準とした「基準薬局」は国民に受け入れられなかったのだ。
考えてみれば「基準薬局」とてある時代のスタイルにすぎないし、そのスタイルに一番適した人たちが標準としていただけだ。その標準で競い合えば、自分たちに都合が良い。

結局のところ、薬事法の基準、保険法・療養担当規則の基準、産業化・チェーン化・グローバル化が、薬局に関する「事実上の標準」を作り上げたと言って良いだろう
「基準薬局」である日の出薬局は時代に取り残されたのか
あるいはそれを初めて経験した学生の「新鮮な驚き」に
新たな価値を見出すことができるのか

薬剤師倫理

「薬剤師にとって、倫理が大切だ。」
「そうだね。でも、なぜそれがヒューマニズムなんだ?」

・・・僕はこれからの薬剤師会にとって、倫理が大切だと考えていて、それには当然ヒューマニズムも含まれるけれど、全体としては別の考えの方が多い。おそらく職能団体としては「規範」を示すために倫理が必要なのだが、例えば、脳死の問題ような生命倫理、患者負担金のポイント制の議論はビジネス倫理、地球温暖化の議論は環境倫理・・・となって、我々が扱う倫理問題はヒューマニズムではないのではないか・・・・

ある薬剤師会系雑誌の記事によれば、ヒューマニズム力(へんな言葉だ!)が薬剤師に求められるは「薬剤師会作成の冊子に記載されているから」である。「2008年度版薬剤師に求められるプロフェッショナルスタンダード」では「ヒューマニズム(倫理)」という表現が使われている。
この論だと「神の存在は証明できる。なぜなら聖書に書いてあるから」ということになる。

共通一次、センター試験で「倫理」をとらなくとも、高校の倫理社会の授業でちゃんと学んだように思う。言うまでもなく、倫理=ヒューマニズムではない。

なので「ヒューマニズム(倫理)」という表記を見るたびに、(もしこれを倫理や哲学に詳しい他の職種に気付かれたら死ぬほど恥ずかしい)と一人で自分勝手な心配をしている。 だれか、心配するなと言ってほしい。

日ノ出町駅 まちかどの薬局 日の出薬局 薬剤師 高橋洋一

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