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キーフォーバー・ハリス修正法から50年
大学病院に勤務していたころなので40年近く昔のこと
薬学部図書館の書架で「薬害と政治」という本を見つけました。
翻訳本で有志による自費出版のようなものだった。立ち読みをしてビックリ、日本の薬事制度や行政はまさしくこの本の通りに変わっている!
本に書かれていたのは、キーフォーバー・ハリス修正法についての解説でした。
まだスモン裁判が行われていて薬害は大きな社会問題でした。
【 米FDA 】
•Kefauver-Harris(キーフォーバー・ハリス)修正法から50年
50 Years: The Kefauver-Harris Amendments
FDA News
通知日:2012/11/20
http://www.fda.gov/Drugs/NewsEvents/ucm320924.htm
◇50年前に1人のFDA審査官がいかにして生命を守り,法制化の火付け役となったか
2012年にFDAは,処方箋薬の有効性と安全性を確保してきたKefauver-Harris修正法の成立後50周年を迎える。しかしこの法案は,1人の新人FDA医務官と2人の議員の気骨と粘り強い努力がなければ提出されなかったかもしれない。
Frances O. Kelsey博士がFDAで最初に割り当てられた仕事の1つは,thalidomideという一般名の方がよく知られている鎮静薬[‘Kevadon’]の申請書の審査であった。Thalidomideはすでにカナダや欧州・アフリカ20カ国で承認されており,妊娠中のつわりに広く処方されていた。
しかし,Kelsey博士は製薬企業が提出したデータに満足しなかった。Kelsey博士は,自らの審査にもとづき,データは不完全で,同薬は安全であるとの企業の主張を裏付けていないという見解を譲らず,米国内でのthalidomideの販売承認を認めなかった。
◇圧力に屈せず
製薬企業は圧力を強めてきたが,Kelsey博士の見解とFDAの後ろ盾は揺るがなかった。Kelsey博士の取った立場が正しかったことが悲劇的な形で証明された。1961年には,thalidomideと重篤な先天性欠損との関連が報告から浮かび上がってきた。手足が短いか欠損している小児や,アザラシ肢症の小児が,欧州で何千人も出生した。
米国でthalidomide禍を回避する上でKelsey博士とFDAが果たした役割についてワシントン・ポスト紙が報道したことがきっかけとなり,米国の議員達が動いた。
・・・・・以下省略
50周年だったんですね。久しぶりにキーフォーバーの名前をみて、行政や政治家にはもっとしっかりしてもらわないといけないと思いました。
医薬品のインターネット販売
1月11日、医薬品のインターネット販売に関する最高裁判決で原告(ネット通販業者)が勝訴しました。ケンコーコムの株価が急騰、アマゾンも参入を検討しているとか・・・
しかし、この判決は省令による禁止が不適当だということですから、おそらく薬事法改正し規制を行うことになります
保険調剤の患者負担金へのポイント付与についても、ドラッグストアにより裁判が起こされるかもしれません
脱法ドラッグの問題も同じところに根があって、薬事法で禁止した構造式を持つ化合物でなければ業者から訴えられた取り締まった行政が敗訴します
彼らはむしろ、法律を重視しているといえます
こういうことをする人たちの論理は、
すべての争いは法によって解決されるべきである
⇒裁判に訴えられない行為はすべて適法である
⇒裁判費用を下回る被害を生み出す不正は実行しても訴えられないので正当である
その結果、私利追及と法律重視の風潮が、法律の不完備を利用した悪事を増大させています
これを好ましいと思う人たちは一定の割合でいますが、 そればっかりの社会は果たして好ましい社会と言えるのでしょうか
一方で、私たち公共性、倫理、信頼を重視する組織(職能団体や地域団体)を育てて行くことも必要だと思いました。
日ノ出町駅の、日の出薬局 薬剤師 高橋洋一
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