日本薬学会/イレッサ訴訟

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日本薬学会

3月28日から30日まで、みなとみらい21地区にある会議場パシフィコで日本薬学会の第133年会が開催されました。

最終日30日、土曜日の午後3時ごろ、外国からのご一行が日の出薬局に来ました。
カンボジア保健省のDr Heng Bun Kiet 長官及びInterpol のMs Aline Plancon部長が、金沢大・木村先生の案内で到着、一時間ほど日本の薬局制度のお話をしました。

午後5時過ぎには、日本薬学会の流れで大勢の先生方が野毛に集まってきました。
上村先生、根岸先生をはじめ東京理科大の学生さんたち、平成帝京大の小島先生、厚生労働省の吉田さん、それにいつもの仲間が加わり、野毛薬科大こと「鳥しげ」の座敷が関係者で一杯になりました。

しかし、日本薬学会年会は大学の先生のスケジュールで開催されるため平日の場合が多く、僕らのように薬局や病院で働く薬剤師にはなかなか参加が難しいのが現状です。
日本薬学会の柴崎正勝会頭は3月28日、第133年会の講演で、薬学6年課程導入に伴う会員数の減少に歯止めをかけるために日本薬剤師会や日本病院薬剤師会との会員融合を検討する方針を示したとか。この話が上手く進んでくれることを希望します。

イレッサ訴訟

イレッサの副作用被害を巡る訴訟は司法が国と製薬会社を「免責」する格好で終結した。争点は間質性肺炎に関する添付文書の表記がPL法に照らして瑕疵であるか、という点だったように私は理解しています。

添付文書を読むのが私の仕事です。慣れてくれば、添付文書上のどこに、どんな表現で書かれているかの意味が分かります。しかし、この書き方なら、背景にはこんな事情があるだろう、というようなもう少し深い読み方ができるような医師、薬剤師はそんなに多くありません。私はたまたま新薬の承認審査に関わってきたので、分かりますがみんながそう読めるなんていうことはけっしてありません。

判決は「副作用情報に関する指示・警告に欠陥はなかった」との立場を貫いたが、イレッサ承認から2年半で、間質性肺炎を発症して557人が死亡したという現実があります。
医療現場で医師が情報を得るのは製薬企業のMR(情報担当者)からだという調査結果もあります。添付文書に瑕疵がなかったとしても、「夢の新薬」と鳴り物入りで紹介された製品のプロモーションに問題がなかったとは言えないでしょう。

製薬企業と国に責任がないとして、使用した患者のみに受忍を求めることが相当か疑問が残るのは当然です。製薬企業のプロモーションコード、医師の側の倫理(利益相反)に関する整備はまだ緒に付いたはかりです。それが整備されても中立な立場から患者さんへのリスクコミュニケーションが必要であるし、それが薬剤師の仕事の本質であることを、今回の判決で再確認しました。

日ノ出町駅 あるいてすぐ、まちかどの薬局 日の出薬局 高橋洋一

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