臨床判断/原薬が抱える「チャイナ・リスク」

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実験室で日々行われる研究の成果を発表する。それも学術ですが、薬剤師の日々の臨床業務、日常業務のなかで得られる成果にも学術的内容もあります。日常業務からアカデミックな内容への転送、これが重要だとわかっていてもなかなか難しいもの。
10月7-8日、浜松市で行われた日本薬剤師会学術大会には全国から7800人の薬剤師・薬学生が集まりました。これは「学術大会」であって「学会」とは違います。大学の実験室で行われている研究は「日本薬学会」など本物の学会で発表します。
臨床の現場(薬局や病院)にいる薬剤師が学術と関係ないかと言えば、けっしてそんなことはなく、現場の薬剤師が適切な「臨床判断」「医療判断」を行えるよう、自分が経験した事実を発表という形に積み上げ、薬学研究につなげ論理を構築して行く作業が必要になります。
「臨床判断」「医療判断」を、「診断」(医師の独占業務)と混同してしまい、薬剤師は「判断」を行わない、と多くの人が思っています。
今回の学術大会では「倫理」についての講演もありました。日本の薬学では遅れた領域です。「事実上の標準」となってしまったチェーンストア理論の業務スタイルを見直し、薬剤師の論理と倫理に基づく業務が構築されるまでには今しばらく時間がかかりそうです。

原薬が抱える「チャイナ・リスク」

2012年11月29日19:21に配信された厚生労働省新着情報配信サービス
の末尾に、11月19日に開催された平成24年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品
等安全対策部会資料( http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ps7v.html )
が挙げられ、その亦末尾の 「資料5 その他」 の中に
資料5ー2 「不適切な油脂を用いて製造されたセフェム系抗生物質を含有する医薬品について」資料リンク があります。

「不適切な油脂」とは、俗に ”下水油(げすいあぶら)” 、一般的には ”地溝油(ちこうゆ)” と呼ばれる安物再生油脂のことですが、レストランや工場などの排水溝や下水溝にクリーム状になって溜まった汚物を回収して濾過し、一応は精製したと称する代物です。こんなものが医薬品製造原料にもなっています。

事は先日、中国のSFDA(中華人民共和国国家食品薬品監督管理局;State Food and Drug Administration)がホームページに、”地溝油を用いて、セフェム系抗生物質
の製造に使用される7-アミノセファロスポラン酸(7-ACA)の製造を行い、製薬企業に販売する製造業者がある”( http://www.sda.gov.cn/WS01/CL0051/74615.html )と発表したことに端を発します。
・・・ 発展途上国の多くでは似せ薬、低品質の薬に悩まされており、市場の
   20?30パーセントがそのような医薬品で占められ、多くはアジアからの輸入、
   密輸で行われているとの情報があります。しかし、最近では米国のような先
   進国でも死亡事故が発生しており、完成品あるいは原薬にかかわらず、これ
   は大きな問題となりつつあります。
    日本でも、中国やインドからの原薬や中間体の輸入が増加していますが、
   査察の問題を含めて製造販売業としての責任からも、今後十分注意を払う
   必要があると思われます。 ・・・・・
とあります。

(元帝京大学薬学部教授の遠藤先生から頂いた情報です。日本国内の医薬品流通は比較的しっかりしていますが、先日、ある商品が欠品し原因を調べたら韓国の工場がGMP(製造における基準)を満たしておらず供給が止まったのだということが分かりました。その商品のパッケージにも、添付文書にも韓国で製造されているという記載はありません。日本でも安穏としておられない状況だと思います。)

日ノ出町駅 とほすぐ まちかどの薬局 日の出薬局 

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